原作と映画
- 2006.12.06
- レビュー
何気なくケーブルテレビのチャンネルを回してると
映画「模倣犯」をやってたので途中から(後半部分から)見てみました。
原作は読んでいて、そのうちDVDをレンタルして借りてこようかなーと思ってた作品です。
感想・・・前半部分を見逃したのであまり多くは語れないけど一言で言うなら「驚愕」。
原作が分厚いハードカバー本上下2冊分なので、映画化するにあたってある程度の変更点があるのは仕方ないとは思います。
だとしても絶対に変えてはいけないのはその作品における「テーマ」だと思うんだけど違うのかな。
原作読んだのが結構前なので忘れてるところも多いけど、ネタばれしない程度に書かせてもらえば原作上巻は被害者家族の視点、下巻は加害者家族の視点が多くかかれていてそれぞれの悲惨さが丁寧に描かれいたと思います。
上巻で被害者家族の悲劇に涙し加害者に怒りを覚えながら読み進めると、
下巻で一転加害者家族としての視点に頭が冷やされる思いがします。両方の視点で淡々と書かれてるため、作品のテーマが少し探りずらいかもしれません。
それでも、宮部みゆきが伝えたかったことのひとつは「加害者もまた(社会の、またはほかのなんらかの)被害者である」と安易に語ることの否定ではないかと私は思っています。
加害者は決して悲劇の主人公でもヒーローでもない。
原作においてある人物の過去や背景について、事実の羅列はあっても多くは書かれなかったのはそういう意味があるんじゃないかな。
映画版の結末はそういった宮部みゆきが込めたメッセージやテーマというのがまったく理解されず、むしろ否定する内容だと感じました。
それはもう別な作品じゃん。
そして一番驚いたたのが「模倣犯」という作品名の理由となった場面での変更。
この小説がなぜ「模倣犯」というのかが最後の最後でわかるんだけど
そこを変えてしまったために、映画として見たときにタイトル名が意味不明になってしまってます。
小説のテーマについては私の読み違えがあるかもしれないけど、そこは変えちゃだめだろー。
あとみんな演技が下手過ぎて笑えました。
山崎努はがんばってたけど、最後の方の自宅でテレビに向かって怒りをぶつけるシーンの演技が軽すぎると感じました。
と、まあ後半部分見ただけでこんなに突っ込みどころ満載。
とにかくあまりにひどすぎて前半部分が気になります。
大きなテーマのひとつであるメディアのあり方っていう部分を前半部分は描いてるのかな?
今のところ私的な映画の評価は最低の部類に入るけど前半部分を見てそれが変わらないか確かめてみないと。